キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】




中学に上がった2年目の頃には、既に家族が家族じゃなくなってた。


お父さんとお母さんは昔から変わらないけど、結人も大きくなって友達と遊ぶことが増えた。


俺も部活があり必然的に帰りも遅くなるし休みの日は出かける。バラバラなんだ、皆。


「今日の練習きつ過ぎじゃね?」


「俺歩けないチャリ乗っけてって」


「バカ、自分の足で帰れ」


部活の仲間がゾロゾロ集団を作り帰っていく中、俺はまだ練習するために残る。


「牧田、お前も支度して帰りなさい」


「いえ。あと少しでもいいのでやらせてください」


「牧田は真面目だな。大した奴だ」


ありがとうございますと愛想よく万人受けする笑顔を顔に貼りつける。


部活の顧問の前では居残り練習する理由はもっと上手くなりたいからです、とか言っているけど本当は単に家に帰りたくないから。


雑念を払い集中して練習に取り組み、時間いっぱいやり続けた。毎日これを繰り返す。


小学校の時は友達とただ遊んでいた時間が部活に代わっただけに過ぎない。


< 222 / 579 >

この作品をシェア

pagetop