キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


―――――


―—…



「最近香水変えた?大分香りが薄くなったよ」


「俺、前から香水つけてないけど」


「嘘!だっていつも香水の匂いしてた」


「多分他のやつらのが移ってたからだわ」


他のやつらを正確に言えば、遊んでた女。


俺は最初は自分の香水をつけていたけど他の女もつけてることが多いから匂いが混ざって嫌だと思い、つけるのは止めたのだ。


そして、その香水の匂いがなくなった理由は殆ど遊ばなくなったから。


「牧田君から甘い香りがしないと、何か変な感じがする」


「じゃあ香水つけようか?」


「ううん。新バージョンの牧田君もいいと思う」


「からかってるな」


「私のチロルチョコ摘まみ食いした仕返し」


「波江のくせに生意気」


気づいたら、いつのまにか波江を好きになっていた。


他の女といても楽しくないと思い始めたのは、席が波江の隣になってから少し経った後。


波江といたいって思いは確実に心の底に積もっていって、また高2の春にやった席替えの時内緒で友達にくじを交換してもらい、波江の隣の席になったのだ。


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