キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


ちょっとやそっとじゃ全然ダメだった。俺って信用ないのな。でも諦めずに攻めて漸く波江に俺が本気だと認められた。


「牧田君、このシチュエーションはもしかしなくても」


「もしかしなくても。波江の予想通り」


告白するために波江を呼んだのは、人気のない校舎の片隅。


「波江」


「はい」


「俺、波江が好き。付き合って」


「私でほんとにいいの?」


「波江がいいの」


他の誰かじゃ、意味ないんだって。


「っ……。私なんかで良ければ、こちらこそ付き合ってください」


顔をうっすら赤く染めてあたふたしてる波江が可愛いから、衝動に任せて啄むようなキスを1つ。視線が、絡み合う。



本格的な夏に向けて青葉が萌える、頃だった。


< 237 / 579 >

この作品をシェア

pagetop