キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
碧音君が行ってしまわないうちに急いで下駄箱からローファーを取り出して履き替える。すぐに7組の下駄箱があるところに行くと、碧音君は待ってくれていた。
「お待たせ!では帰りましょう!」
「何でそんなテンション高いのお前」
「碧音君が7組ってことも分かったし、制服姿見れたし、一緒に帰れるから」
「単純か」
青みがかった灰色の瞳をすっと細めて綺麗な唇の端をあげた。あ、碧音君が、笑った?
「碧音君に笑ってもらえるなら単純ってことにする」
「そういう考え方が本当に単純て感じ」
もう笑顔を引っ込めてしまった。あともうちょっと見ていたかったのに。レアな顔だったから写メで撮っておきたかった!スマホに無意識のうちにのばしていた手を引っ込める。
「バンドの練習ってどれくらいの頻度でやってるの?毎日はさすがにないよね」
「星渚達は大学とバイトがあるから。全員揃うのは難しい」
「そうだよね、普段は大学生なんだもんね。でもそれを考えると逆に皆がどうやってバンド結成したのか気になる」