キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「結人、明日は家でゆっくり休め」


「邪魔だって言っ……」


「結人?!」


ガクン、膝から力が抜け跪いてしまった。辛うじて片手を壁につけ体勢を保とうとしている。


「結人、結人?どうした」


「……―――、……はっ」


青白い顔に冷や汗、多分貧血。でも貧血用の薬は今無いし。取り敢えずソファに寝かせて楽にしよう。


「キツいけど我慢してソファまで行ける?」


立てるよう手を貸そうとした瞬間。



パシンッ!



「離せ」



払い除けられた手が、行き場を失った。


これはまるで、あの誕生日の時俺が結人にしたことの再現だと思った。但し、立場が逆。


こんな状況でも人に頼らないのか。いや、頼れなくしたのは俺なんだよな。


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