キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


やるせなくて下唇を噛む。ふらつきながらも立ち上がり階段を上る結人を追いかける。


「無理するな、本当は辛いんだろ。手貸すから」


「しつこい」


結人が伸ばした腕に肩を強く押されバランスを崩し、階段からダン!落ちてしまった。


「って」


その時運悪く額が角に当たり切った。タラタラ生温かい血が伝う。手でそっと触れると真っ赤な液体が指につく。


ふいに階段の上を見ても結人はそこにいなくて。


「ダメだった」


触れることすら、許されなかった。額の傷よりもそっちの方がよっぽど痛い。


俺の存在は他人以下なんじゃないかと思う。自分が過去にしたことの代償が、これだ。


「何やってんだろ、俺」


はあ、溜め息を吐く。結人の部屋に行っても鍵を掛けられて入れないしな。今出来ることと言ったら、具合が悪い結人が食べられるゼリーとかを買うくらい。




額には大きめの絆創膏を貼り、先が真っ暗闇の道を進んで24時間営業のコンビニへ行ったのだった。



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