キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
先生根に持つタイプだから面倒くさい。コソッと小声で教える。
のそり、机から体を離し一応“ちゃんと授業聞いてます”な姿勢に。
ノートは真っ白なままでシャーペンすら持たないやる気のなさは、今日は許してください先生。
最後の授業まで一貫して心ここにあらずな感じだったから、帰り道に聞いてみることに。
「藍。弟君とケンカした?」
「そうじゃなくて」
ケンカじゃない?
ならその額の傷はどうしたの。藍はどっか抜けてるとかおっちょこちょいっていう性格とは反対だから、自分の不注意でケガすることはあり得ないと自信を持って言える。
「結人がさ、夜中の1時くらいに帰ってきたんだ」
「うん」
「俺が一方的にだけど話してた途中で、結人が貧血になって」
顔が苦々しく変わっていく。