キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「藍、最近嬉しそうだね」
「結人が家に帰ってくる日が増えたから」
「良い傾向だよ」
秋の色も深まってきた今日この頃、紅色や茶色の落ち葉を踏みしめて歩く帰り道。
季節が夏から秋に移る間、俺が結人にうざがられるくらい『早く帰ってこい』『夕飯一緒に食おう』『結人が帰ってくるまで待ってるから』など色々言ってきたからか、結人が家に帰ってこない日が減ったのだ。
まだまだ深夜帰宅もするし話しても相手はしてくれないけど、俺にとっては嬉しい変化で。
お父さんとお母さんとも、向こうから話しかけてくれるようにまでなった。
以前は俺や結人に無関心だった2人が。
「春がいてくれたからだ」
「努力したのは、藍だよ」
「……春、好き」
春の肩にかかっている黒髪を手で後ろに退けて、首筋に唇を宛がった。
「お!?く、くすぐったい」
「もっと可愛いげのあること言って」
「可愛気がなくてすみませんでしたー」