キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「――闇の中はまともに息が出来なくて、苦しくて――」
藍の想いが詰め込まれている詞。
「――僕が君の光になって、道を照らすんだ。どこまでも――溢れだして零れた涙を拭うのは、僕だから――」
「……っ」
自分も歌っていて泣きそうになる、けど堪えて歌った。歌、って不思議な力があると思う。
普通に会話の調子で言われる言葉よりも、歌われる言葉の方が相手の心に響く時があるから。
聞く側の感情に寄り添って、包み込んでくれる。歌詞が気持ちを代弁してくれていると思えるよね。
「――2人で――……」
歌いきり、藍の手を握った。藍の手は、家族も波江さんも救える手だよ。
「この歌詞が、藍の気持ちじゃないの?本心なんじゃないの」
「俺は……」
「藍の信じる道を進めばいいよ。答えは、とっくの前に出てた」