キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
波江さんの光になる、これが答え。
「曲のタイトルは、Light of darkness。意味は闇の中の、光」
今、波江さんにとっての光は藍だ。
「……大事なこと、忘れてたみたいだ」
「思い出せたでしょ」
「その曲歌ってた時、春、笑ってたな」
「波江さんのお気に入りだもんね」
愛する人のための曲だから。
「明日歌ちゃん、ありがとう」
「ううん」
私がしたことと言えば、藍の歌を歌っただけだよ。でもそれで気づいてもらえたなら良かった。
「春のところに行ってくるね」
藍は立ち上がり、ジーンズについた砂をパンパン払った。瞳には、もう迷いは感じられなくて。
代わりに宿ったのは、強い意志の光。
「いってらっしゃい」
「落ち着いたら、連絡する。また練習に戻るから」
「うん!藍がいないと碧音君と皐月のケンカ止める人がいなくて困る」