キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



連れられて辿り着いたのはスタジオの外。


廊下で話してると特に皐月が聞き耳をたてるかも知れないからだそう。


「碧音君、話って」


疑問系で聞いておいて何だけど、恐らく内容はケンカした日のことだ。


意を決して数日前、碧音君に話しかけてみたらさっきのようにいつもの毒舌で返事してくれたから、もう気にしていないのかと思っていたけれど。


どうやら違うらしい。


「藍を追いかけようとしたお前を止めた時、キツい言い方した。ごめん」


まさか謝られるとは予想していなかったから、思わず言葉に詰まる。


「あ、謝らないで。碧音君も藍を思って言ったんだし」


「でも実際、今日吹っ切れた藍の顔を見てお前が行って正解だったって分かった」


藍を任せてくれた碧音君のためにも、って気持ちもあったから。

< 267 / 579 >

この作品をシェア

pagetop