キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
星渚さんの“みっちり”は並大抵のレベルじゃないのは既に理解している。
星渚さん以外の3人の顔つきが一瞬変わった。何年も星渚さんと一緒にバンドやってるのにこの反応。
でも皐月は目を好戦的に輝かせる。
「来月にライブあるしな!やろうぜ」
「それまでに波江さん間に合う?」
「医者と相談して、行けるようなら連れてくるよ」
そうだよね、焦りは禁物だ。新しい生活に向けての準備もあるだろう。
「なあ、今日皆で飯食いに行かね?せっかく揃ったし」
「賛成。刹那は?」
「行く」
「私も!」
皆揃ってご飯を食べるのは、合宿以来。
「藍、お前は?家で食う?」
皐月が問うと藍は少し考えて『今日は行こうかな』と同意。いつもはこういう誘いは家族のことがあるため断っていた藍が、オッケーしてくれた。
皆の笑顔を傍で見ていられて、幸せだなーなんてしみじみ思いつつも前へ踏み出した。