キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
坂を駆け下りてバッ!と星渚さんの胸へ飛び込む。
「菜流も学校お疲れ様。授業ちゃんと居眠りしないで受けた?」
「当たり前じゃーん。真面目に受けたよ」
「えらいえらい」
毎度この兄妹は同じことをやっていて飽きないのか。藍と碧音君はさすがのスル―スキルで花火を袋から開ける作業を始めるから私も手伝う。
皐月はバケツで水を汲みに行って戻ってきてから私達が袋からあけた花火をまとめていってくれる。
季節外れだとしても、このメンツで花火できるなんて楽しいな。青春だ。
「さ。準備も整ったところで花火大会始めよっかー」
いつの間にか2人の世界から戻ってきた星渚さんがウィンクする。実際ほとんど準備したのは私達ですけどね?!とは言わないでおく。その奔放なところが星渚さんだ。
「打ち上げ花火やろうぜ!すげえやつドーンと」
「いいねぇ」
「皐月、一気に何個も点火しないでね?」
「……チッ」
「やる気だったの皐月。止めようよ」
皐月は私が注意すると、両手に持っていた打ち上げ花火のうち1つを戻す。