キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「初めまして。波江さんのこと話には聞いてました。俺は紀藤星渚、君と同い年。よろしく」
「どうも、高瀬皐月です」
「私も藍からmidnightの皆さんの話はよく聞かせてもらってました。会えて嬉しいです」
波江さんがチラリと藍を見ると、それだけで波江さんの気持ちが分かったかのように藍も笑う。
藍の手は、彼女の手と繋がれたまま。素敵。
「えっと、ごめんなさい。あなたは……」
「私は橘明日歌です。midnightのファンです」
先に頭を下げると律儀に波江さんまでお辞儀をしてくれた。
私年下なのに、なんて謙虚なんだろ。
「星渚、碧音は?」
藍は辺りに視線を走らせる。
「刹那ならギターの調整がどうとか言ってライブハウスの中に入ってる。2、3分すれば来るよ」