キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


主に喋っているのは1番背の高いワインレッドのピアスをした男。こいつが恐らくリーダー。


「そうですね。明日も良い結果が残せるよう頑張りましょう」


星渚が営業スマイルで言うと、BLACKの4人は控え室を出ていった。


「……今の、何」


「わざわざ挨拶しに来るって、真面目な奴らだな!」


「宣戦布告されたのかもねえ。俺達」


midnightとBLACKは何かと比べられることが多い。


だから今回のライブではBLACKがより観客の心を掴んでみせると、遠回しに伝えてきたのか。


「負けてらんねえな。言われっぱなしじゃ癪だ」


「皐月、気合いが空回りしないように」


「分かってるって、藍」


皐月はグーッと背筋を伸ばし、控え室のドアを開けようとする。

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