キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「持ってなかったかも、皐月」


「財布忘れてったの?うっそー」


星渚が皐月のバッグから半分見えてる財布を引き抜く。


皐月、持ち物くらい確認しないと。ポッケに入れておいたとでも思い込んでいたのかも。


「放っとけば。忘れたことに気づいて戻ってくる」


方耳につけたコバルトブルーのピアスを指先で弄る碧音。


「そんなこと言わずさ、届けに行ってあげたら」


「どっかに財布落とした、って探してるかもしれないしな」


「は。何この俺が届けること決定みたいな空気」


「年上の頼みは聞かないとダメですよ」


星渚はヘラリ、気の抜けた顔。


俺も正直コンビニまで行って帰ってくるのは面倒くさいと思っていたから、話にのっかってみる。ここのライブハウスの側には自販機はないのだ。



「碧音、頼むよ」

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