キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【闇に囚われて】
「ただいま戻りました」
ソソソ、遠慮がちに控え室に戻ってきた皐月。
「はぁ?皐月何で手ぶらなの?」
「それにつきましては突っ込まないでいただきたいです」
何も言ってくれるなと耳を塞ぐ皐月に、星渚は怪訝な顔をする。
「刹那と会わなかった?」
皐月は何のことだかさっぱり分からない様子で首を傾げた。
「碧音は皐月に財布を届けるためにコンビニに行ったんだ」
「……俺、会ってねえよ?」
碧音が皐月が財布を持って行ってないことに気づくまでそう時間は経ってなかったし、会えないわけがないと思うんだけど。
「刹那はコンビニの中でお前を見つけられなくて探してる間に、お前が店内から出てきちゃった、はないかー」
「あのコンビニ広くねえし、混んでなかったから分かんだろ」
「そのうち帰ってくる。待ってよう」