キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「用事って、何なんだよ。あいつ一言もそんな話してなかったし、そぶりもなかった」


口元に片手を添え、眉間に皺を寄せる皐月。


「でも刹那の携帯でメールは送られてきたし、文面も刹那のものじゃん」


普通に考えれば碧音が送ってきたメール、と受けとればいいんだろうけど……引っかかる。


「もう少し、待とうか」


静かに星渚が告げた。


控え室のドアが開く度に碧音?と思い顔を上げるけど皆別人。


俺達のライブまで刻一刻と時間が迫ってくる。けれど碧音は戻ってこない。


「……おかしいんじゃねえか、これ。大体、コンビニで俺と碧音が会えなかったってことからあり得ねえと思うわ」


「そこ。本当に刹那に会ってない?」


「ほんっっとに」


「だよね」


「ライブに間に合ってくれたらいいけど、最悪来なかったら……」


来なかったら困るのは俺達だけじゃない、運営側にも迷惑がかかる。

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