キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「紀藤じゃん。お前もこのライブ出てんだ」


「まあね。あのさ、刹那碧音見なかった?」


ライブハウス内を歩けばバンド仲間に会うから、その度刹那のことを聞くことにした。


こういう人達の方が刹那のことは知ってるし、効率がいい。


「黒髪の奴だろ?見てねえ」


「ありがと」


こいつもダメか。周りの人間に注意しながら隈無く探していくけど、まだ見つからない。


電話には出られないけどメールはしてきたって、どういう状況なわけ。場所はどこ。


こうなってくると本気で心配になってきた。


「刹那どっかで見なかった?コンビニとか」


「いんやー、あいつとは会ってないわ。どうかしたん?」


「ちょっとね。ごめんありがと」


「じゃーな」


また収穫なし。この感じだとライブハウスの中にはいないんじゃないか。


それを確かめるために、頼みの綱である受付のスタッフに聞いてみることにした。


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