キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】




藍がこちらを見て小さくピースすると、波江さんもピースして返す。波江さん、幸せオーラに包まれてるな。


「――君は言葉に嘘を塗って、僕を――」


碧音君のキレと強さがある歌と、そして曲の土台とも言える星渚さんのドラムがないとどんな風になるのかな。


結構挑戦的じゃない?と一抹の不安があった。でも心配は無用だったみたいだ。


ベースとギターでも大丈夫な曲を選んで、色々と工夫しているんだろう。


midnightにしては珍しいしっとりとした曲。


「――あの一言が言えなくて、壊れていったね君と僕――」


目を瞑って、じっくり聞きたくなる藍と皐月のデュエット。


「明日歌ちゃん、すごいね。格好いいよ2人共」


波江さんの目に薄く透明な膜が張られていた。口元に宛がう手が、震えている。


「ここに碧音君と皐月が加わったら、もっと感動しちゃいますよ」


「うん……っ」


抑えきれずに瞳から流れる滴は、とてもとても綺麗だった。色んな想いが込められた滴だね、きっと。


ひとしきり星渚さんと藍のライブに酔いしれていた。



――この裏でどんなことが起きてるか、知らずに。




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