キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「ほんと、どこに行ったの」
人通りのない道なのをいいことにひとり呟く。
時間も時間だからビルの明かりも消え、残る光は街灯くらい。数メートル先は闇で何も見えない。
この中で人を探すってなかなか骨が折れる。
「刹那ー!」
呼んでも出てきてくれないのは分かってるけど、呼ばずにはいられなくて。
あらゆる場所を捜索した、でも刹那らしき人物さえいない。
碧音がもし電車に乗ってどこかに行ったのなら、もう探しようがない。
俺が想像出来る電車に乗って刹那が行きそうな場所は……繁華街か家、若しくは学校近くの駅。
――まさか家?家に一旦、帰ったとか。
すぐに携帯を取り出して刹那の家に電話する。
刹那の家は毎年合宿で使わせてもらったり何かと関わりがあって、家電の番号をいつだったかおじさん達に教えられたのだ。