キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



しかし受けつけがある1階に戻ってきてしまい、さすがにここはいないだろうと思いつつも各部屋を回り、同時に刹那を見てないか聞き込みもする。


結果、やっぱり刹那を見た人はいなくて。何度も連絡がきてないか確認しても音沙汰ナシ。


……ねぇ刹那、何があったの。


「ここもいねぇしB1はライブ会場と俺らの控室だろ?残るはB2とB3か」


「あそこは俺達も行ったことないしスタッフもほとんど行かない場所だな」


「B2は一番初めに俺探そうとしたけど鍵がかかってた。でもB3はまだ見てないよ」


行ってみる価値はある。そこに刹那が迷い込む可能性は限りなく低いことは分かってても期待してしまう。


B2に行くと一気に空気が冷たくなり、非常口の部分しか電気もついていない。


ドアには『立ち入り禁止』と張り紙がされていて、案の定ドアに鍵がかかっていた。


そしてB3に行こうと階段を数歩おりたとき。

「—―……だから」


「……で、……な」


3人で顔を見合わせる。誰かの声が聞えてきた。しかも複数人。気づかれないように明かりをつけずにゆっくりおりる。


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