キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「ってめえら、最初からこうなること分かってて着いてきたのかよ!!」
あらかじめ鍵を捨てたか隠したりしていたから、俺達に捕まっても暴れることなくここまで着いてきた。
全部計算されていたのだ。
「スペアキー!スペアキーならスタッフの誰かが持ってるかも知れない」
藍も声を荒げて言う。
「スペアキーはちゃあんと、俺があるところに保管してますよ」
誘惑するように、甘い餌で獲物をおびき寄せるように囁く。
「教えるには、条件があります」
「条件?」
「明日のライブ、出ないで頂きたい」
「……は……?」
「今目の前で閉じ込められてる仲間を救えるのなら、1回のライブに出ないことくらい構わないでしょう?」
正気か、あんた達。
「仲間か、ライブか。あなた達はどちらが大切なんですか」
何、言ってんの。こいつ。
俺達がライブに出ないことが、刹那を助ける条件?
ふざけてる、ふざけてるふざけんな。
もしこれでライブに出ないと選択したら、刹那が自分を責めないわけがない。