キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「ってめえら、最初からこうなること分かってて着いてきたのかよ!!」


あらかじめ鍵を捨てたか隠したりしていたから、俺達に捕まっても暴れることなくここまで着いてきた。


全部計算されていたのだ。


「スペアキー!スペアキーならスタッフの誰かが持ってるかも知れない」


藍も声を荒げて言う。


「スペアキーはちゃあんと、俺があるところに保管してますよ」


誘惑するように、甘い餌で獲物をおびき寄せるように囁く。


「教えるには、条件があります」


「条件?」


「明日のライブ、出ないで頂きたい」


「……は……?」


「今目の前で閉じ込められてる仲間を救えるのなら、1回のライブに出ないことくらい構わないでしょう?」


正気か、あんた達。


「仲間か、ライブか。あなた達はどちらが大切なんですか」


何、言ってんの。こいつ。


俺達がライブに出ないことが、刹那を助ける条件?


ふざけてる、ふざけてるふざけんな。


もしこれでライブに出ないと選択したら、刹那が自分を責めないわけがない。


< 343 / 579 >

この作品をシェア

pagetop