キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
かと言って、刹那を助けないのは言語道断。
ピリピリした空気が、心臓の鼓動を早くする。
「完璧でしょう、俺達の計画。刹那さんに顔は見られてませんから、決定的に俺達を犯人だと決めつけることは出来ない」
高らかに、リーダーが言い放った。
自分の勝ちだと、宣言するように。
「ああ、まだ助けを求めようと考えていてもダメですよ?スタッフが来るのは明日のライブ終わり、片づけの時くらいですから。スタッフ以外こんな場所に来る人間はいない」
ケタケタケタ、気持ちが悪い笑い方。
こいつらが纏う空気はどこまでも、歪んでる。
「さあ、どうします?」
「……失敗だ。俺が、てめえらの計画を失敗にしてやる。ライブも碧音も大切だ、両方守る」
皐月が声を震わせる。
「星渚、退いてろ。ドア蹴破るから」