キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
今、過去にされたことがフラッシュバックしてる。
多分俺のことも今は自分を傷つけようとする他人、または閉じ込めた犯人としか思ってない。
「碧音、何もしないから」
優しく、怖がらせないように言う。
「……だ、やめっ…」
嫌だ、止めてと声に出すのも辛そうだ。
「や……っ!」
隙をついてグッと距離を詰め、碧音を抱き締めた。
「はなっ、して、ごめんなさっ……」
「碧音、俺だよ。皐月」
痛々しいほどに腕の中でカタカタ震えて、荒く息を吐き出している。まだ俺が皐月だと、危害を加えない人間だと判断が出来ていない。
ギュッと目を堅く閉じて、うわ言のようにごめんなさい、止めて嫌だと繰り返す。
碧音、大丈夫、もう安心していいぞ、そう思いを込めて背中をさすった。