キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「怖くない、危なくないからな」
碧音は暗くて極端に狭いところが苦手というより、完全に無理。1人なら尚更だ。
それなのに1人で数時間も閉じ込められてたんだ。助けてと言っても誰も答えてくれない、ここから出してと願っても届かない。
こうなるのも無理はねえ。
BLACKが碧音をターゲットにした理由は、間違いなくこれ。過去のことも含め色々と調べたっつってたけど、このことまで知ってたのかよ。
まじで許さねえ。
今すぐ怒鳴り散らして殴ってやりたい。でも大声を出せば碧音が怖がるからやらないけど。
「皐月!刹那、やっぱり」
星渚と藍がドアがあった部分から顔を覗かせた。勿論、BLACKは拘束したままで。
「ああ。大分混乱してる。今はここから動けねえと思う」
2人も碧音の過去を知っていて予想がついていたから、苦々しい顔になる。
「どうして、何でこんなことをした!」
「かはっ」
星渚がリーダーの胸ぐらを掴み、声を極力抑えて言う。
理由は俺と同じ、怒りに任せて叫んだら碧音が怯えると分かってるから。必死で堪えてる。