キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
そうやって自分を奮い立たせていると。
「碧音君!」
目の前にいつの間にか明日歌の顔が。
「碧君、あのね」
「あ、メッセージ返さなかった話?ごめんさっき気づいて」
「そうじゃなくて……」
明日歌の表情をみる限り、もしかしたら昨日何かがあったんじゃないかって薄々気づいてるのかもしれない。
「私、碧音君なら大丈夫だって信じてる」
それでも遠慮なしに踏み込んでこないところが、明日歌のいいところだって思う。
「大丈夫だよ。いつも通り、歌えるよ」
「お前に言われなくても」
「碧音君」
「っ……」
明日歌に、両手を包まれていた。急になんだと言葉に詰まる。