キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【届かない気持ち】
「こんにちは!」
「おっす」
前回の練習を見させてもらってから数週間後、再び藍さんの家から徒歩5分の位置にあるリハーサルスタジオに行くと既に皆練習していて、皐月がペットボトル片手にお茶を飲みながら迎えてくれた。
皐月は水分補給するためにこの休憩室にいたのか。
「何時まで練習していくんですか?」
「あと1時間半ちょいっつーとこだな」
「分かりました!」
ペットボトルを雑に鞄の中へ放り込んだ皐月は、スタジオに入っていった。
今週の3連休を利用して皆次のライブに向けてガッツリ練習するんだって菜流が言ってたな。
このところ全く皆に会っていなかったから、妙に新鮮な気持ちになる。
「相変わらず目見麗しい……」
ガラス越しに4人を見て、思わず呟く。
星渚さんはパステルのツートンカラーのボタンダウンシャツをカジュアルに着こなし、藍さんは夏らしい麻のニット。皐月はケミカルウォッシュデニムのシャツに、赤いベルトがワンポイント。
碧音君はフェイクドレープのシックなカットソー。モノトーンなのが彼らしい。
しかも、首元を大胆に晒してくれてるとか興奮するぅぅう!!絶対領域が晒されてるぅう!!色気ありすぎだよ、どうするの。
こうなったらいっそのこと上半身裸になってください。待ち受けにする。そして毎日眺める。