キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
それぞれがやりたい教科を勉強しつつ、分からないことがあったら聞くっていうスタイル。
意外と皆やる気でしっかり教科書や参考書、ノートを持ってきている。
私も頑張ろう、と机にプリントやらルーズリーフやらを準備しているとき、ふと碧音君の鞄が目に入った。
あ、あのお守りつけてくれてる。
嬉しくてニヤケそうになるけど我慢。
「ねー紀藤さん、ここの文法が分かんないんだけど」
「どこ……ああ、それは」
菜流の説明を真剣に聞く桐谷君。なんだか家庭教師とその生徒みたいだ。
その桐谷君の隣で碧音君は暗記用のノートを作成中。
男子っぽさもありつつも綺麗な字をつらつら書いていく。碧音君は普段授業を受けてるときもこんな表情や仕草なのかもしれない。
それで、たまにこの窓の景色を見たりして。
淡い秋の空に、元気な声が聞えてくる校庭。
「お前、余裕ぶってるけど勉強大丈夫なわけ?」
「えっ、今はちょっと休憩してただけ」
「休憩も何もルーズリーフ真っ白だろ」