キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



「碧音、行ってやんなよ」


桐谷君が隣でコソッと囁く。碧音君も自分が行かない限りひいてはくれないと予想していて、浅く溜息を吐いてから席を立ちあがった。


それだけで女の子はほんのり顔を赤く染める。


2人が教室を出ていったあと、桐谷君と菜流は呆れ半分で笑いをこぼす。


「刹那はモテるねぇ」


「文化祭のときから告白する子増えたんだよなー。あの姿見て本気で好きになったやつ多いんじゃん」


「先輩からも呼び出されてるっぽいし?」


「紀藤さん情報通だな!」


「私の情報網をナメてもらっちゃ困るわ」


腕を組んでパチリとウィンク。


私も碧音君に告白する子がだんだん増えてるっていうのは噂で知っていた。


もとからあの大人びている雰囲気と美少年っぷりで人気ではあったけど、文化祭の執事姿とステージ発表でとどめを刺されたって感じ。


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