キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【振り向けば】





今日はライブ以来久しぶりに星渚さん達に会って練習を見学。しかも、碧音君の家でだ。


「明日歌ー、このクッキー何味?食ったことねえ」


差し入れにと作ってきたクッキーを1枚摘まんで食べた皐月が、首を傾げる。


「シナモンだよ」


「それだ!言われてみればその味するわ」


気に入ってくれたのか、シナモン味のクッキーにもう一度手を伸ばしてくれた。


「じゃあ、こっちの黄色っぽいのは?」


「実はカボチャ味なんです!」


「手が込んでるね」


星渚さんはほんのりとカボチャ味のクッキーをゆっくり咀嚼。


「碧音、飲み物もらっていい?」


「アイスコーヒーなら、冷蔵庫の中」


「ありがと」


「藍、俺の分もー」


「はいはい」


自分は動く気がない星渚さんに苦笑いしてソファから腰を浮かせ、キッチンにある冷蔵庫から1リットルペットボトルのアイスコーヒーを取り出す。


コポコポとグラスに注ぐ音がする。

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