キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「俺、まだ昼飯食ってないんだ。どっか店入っていい?」
腹を撫でて苦笑いし、肩を竦めた。
「それならうまい店知ってる。行こうぜ」
人が集中する駅から離れ、入りくんだ路地を歩く。
「こんな場所に店あんの?」
「実はあるんだなこれが。最近オープンした店でさ」
「へーえ。隠れ家っぽい」
前なら『早く行こう!』って小学生みたいにはしゃいで俺の前を走って行っただろう。
でも今はそんなこともなく、隣で笑ってる。ちょっとしたことでも以前と比較してしまうのは仕方ねえよな。
そうして歩いていくうちに、目的地の隠れ家的カフェへ到着。
カントリー調の外見でこじんまりとしているけど、結構人は来てるのだ。
「いらっしゃいませ。2名様でよろしいですか?」
「はい」
「こちらへどうぞ」
案内され座った椅子は木で作られていてアンティークな感じ。店主の趣味なんだとか。