キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
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数年前、まだ俺と直人が一緒にいた中学の頃。
「見ろよ皐月!じゃじゃーん!」
「うわあかっけえ……!」
直人が嬉々とした顔で見せてくれたのは、新品のベース。
滑り台や砂場で遊んでいた小さな子供達も、今まで見たことないそれに興味をもったのか目を丸くさせる。
「最新のベース、これお前がずっと欲しがってたやつじゃん!」
「テストで全教科90点以上とるから買ってって頼んだらついにオッケーしてくれたんだ!」
愛おしそうにベースを両手で抱く。
前々から買って欲しいと親に頼み続けていたけど、ダメの一点張り。
それでもめげずに頼み続け『テストで全教科95点以上とったら買って』と条件をつけたら一応承諾される。
それから直人は必死に頑張って勉強してベースを勝ち取ったのだ。
「俺もベース練習して、あの人みたいになれっかな?!」