キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


Bang!のメンバーが終了の挨拶をして、2番目のバンド。


全てにおいて派手な感じが正直あまり好きではなかったけど、周りの観客のテンションは思いっきりあがった。


3番目は正反対の演奏で、大人なバラードの曲。いくらプロじゃないと言っても、レベルは十分高いと思う。


―――そして、遂に楽しみにしていた菜流のお兄さんたちの番。


「今日は何の曲歌うのかな。早く聞きたい」


菜流が興奮しきった様子で、目を輝かせている。


「叫ばないでね?」


一応忠告してみるも、無駄だろうということは予測済み。


「次はお待ちかね、midnightでmissing!」


「「きゃぁあっ」」


「「うわぁぁあー!!」」


今までの中で最も大きな歓声が上がった。菜流が言うように、このバンドは本当に人気なんだ。


メンバーがステージ上でライトを浴びながら音合わせしている間にも『藍!らーんっ』『皐月さん!』『紀藤君ー!』とちらほら黄色い声が聞こえてくる。


全員服装はネクタイを統一したスタイルで格好いい。


「星渚、せなぁ~!頑張ってね!」


菜流も、周りの人の邪魔にならない程度に手を振っているのはいいけど、声の大きさは抑えられなかった。


うん、しょうがないよね。
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