キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「お前、課題なんて持ってきてんのかよ!」
「はい、課題を溜めないって誓ったので」
練習が終了し、各々楽器を片付けてる間に雑談。皐月が物珍しそうに数学の問題集をパラパラ捲っている。
「碧音君、課題やった?」
「やる予定」
「はははっ。刹那は課題ためるタイプだから。ね?」
星渚さんがからかって碧音君の背中を叩く。碧音君は自覚があるのか言い返さない。
「明日歌ちゃん、数学なら藍に聞くといいよ」
「藍さん数学得意なんですか?」
ケラケラ笑って『お前、かけ算くらい暗算しろや』って言ってる皐月から問題集を奪いとり、聞き返した。
「うん。藍は理系だし」
「……ねえ、藍は?」
碧音君の言葉で、藍さんが居ないことに気づく。そう言えばさっきまでいたのに、いつの間にか居なくなっている。
「私、探してきます」
「ほんと?俺らここで待ってるから。帰るよーって伝えて」
「はい」
休憩室を出て、先ずはどこへ行ったのか考えて思いついた場所を探す。