キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
浅野さんはハッとした表情をする。
「今は、頭ん中グルグルしてるせいで気づけてねえだけで。1度ゆっくり自分の周り見つめ直したら、見つけられるだろ」
「俺が、持ってるもの……」
「自分で見つけてみろ。俺は教えてやんねえ」
意地悪してるんじゃない、彼自身が見つけることに意味があるのだから。
お前はこれとこれを持ってるよと教えてしまうのは、野暮だろう。
「直人。俺はこれからもお前がくれたベースを使い続けるし、お前を親友だって思ってる。そっちは?」
「俺は……」
視線をさ迷わせ口を紡ぐ。俺は嫌だ、とでも言うのかな。やっぱり嫌悪感を抱いた人間を受け入れるのは無理だとか。
ハラハラしながら答えを待つ。
「俺は。自信持って皐月の隣に立てるように、頑張るよ」
どこかスッキリした表情で告げる浅野さん。色々と、吹っ切れたのかも。
「おっしゃ!それでこそ直人だ」
「ちょっ、皐月」
皐月は抱きついて背中をバシバシ叩いてる。