キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


藍さんが高校生くらいだったら、こんな感じなんじゃないかと思う。


「明日は?」


「さあ」


「連絡はしとけ。な?」


「あー、はいはい」


藍さんの話に耳を傾けず、スマホを弄る男の子。


「あんたも、またあの女のとこ行けば?」


「結人っ」


「毎日毎日、飽きないよねあんた」


「それ以上言うな」


これは長くなりそうだ。星渚さん達に言いに行こう、と静かに戻ろうとした。


「……待たせてるよ、人」


「え?」


のに。男の子に気づかれてしまい、振り返った藍さんとバッチリ目が合う。


「じゃ」


「ゆ、いとっ。待っ……」


結人という名前の男の子は藍さんに見向きもしないで、すたすたと『どうした?は、まじ?ウケる』電話しながら去っていってしまった。


「あの、藍さん」


「いつから居たの?」


「藍さんが家に帰ってこいって話してる辺りから、です。ごめんなさい、声をかけるタイミングが掴めなくて」


そう言うと藍さんは怒るわけでもなく、困ったように笑った。


「あれ、俺の弟」


「道理で似てるわけですね」


やはり2人は兄弟だった。でも正直、仲が良さそうには見えなかったけど。


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