キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「碧音君。刹那君、碧音さーん」


何度呼びかけても全く返事をしてくれず、ただ前へと足を進める。


確かな目的地があるわけじゃなく、衝動に任せて歩いているだけだろう。


「碧音君ってば」


無視しないでくださいよ。


次いでにスピードも緩めてくれませんかね、これ私走ってるのと何ら変わらないんだけど。


文句はいくつも頭に浮かぶものの、言葉は飲み込んでおく。


もし言ってしまったら最悪のシナリオしか想定出来ない。


「碧音君」


「………」


碧音君に手を伸ばそうとして、でも引っ込めてを繰り返す。


容赦なく振り払われるのが目に見えているけど、だからと言ってこのまま後を着いていくだけっていうのも埒が明かないじゃないか。


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