キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「碧音君、ストップ!」
「はっ?」
勢いよく碧音君の後ろから駆け出し、両手を広げて通れないようにした。
碧音君は思いっきり眉をひそめ機嫌悪そうに舌打ちする。綺麗なお顔が今は般若に思えなくもない。
「いきなり出てっちゃって、びっくりするじゃん。浅野さんのことで怒ってるのは分かるけど、皆心配してるよ?取り敢えず一旦帰らない?」
なるべく碧音君のイライラを助長させないように言葉を選ぶ。
「お前1人で帰りな」
「それじゃ意味ないでしょ?!」
「うっせ。帰れ。ばいばい、さよなら」
「強制終了にも程があるよね!」
私の横を通り過ぎようとする碧音君を逃がすまいとまた前に立ちはだかる。
「あんなこと言われたから怒ってるの?仲良しごっこのバンドだとか下らないとか」
「………」