キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「あんまり結人とは、上手くいってなくてさ」
私の心を読み取ったかの如く、2人の関係について教えてくれる。
「結人は今高2だから、明日歌ちゃんの1つ上だよ」
「高2ですか?もっと年上に見えました」
もしかしたら大学生?とまで勘違いしてしまっていた。
「昔っから、仲良くなくて」
「年が離れてるせいとか?」
「いいや、別の問題。まあ、自業自得なんだけどね」
藍さんは自嘲気味に笑い、溜め息を吐く。
「だから今、修復中」
関係を修復中、現在進行形。弟さんは藍さんのことを兄ちゃんとか兄貴ではなく、“あんた”と呼んでいた。他人と見なしている態度で。
星渚さんや菜流の度を越えた仲良しっぷりをいつも見ているせいか、兄弟は大抵仲が良いものだと思っていたけど、違うらしい。
藍さんは歩み寄って何とかしようとしてる。でも、弟さんが見る限り完全拒否してるよね。
「ごめんね、あんなの見ていい気しないか」
「いや、私が悪いので」
藍さんは自業自得だと言っていたのが気になる。
しかし家族の問題となると余計複雑で大変に違いない。これ以上深入りしないのが、妥当だ。
…………違うな。
私が何て言葉をかけていいのか、分からないんだ。気の利いた台詞が思い浮かばない。