キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
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ミーン、ミーン、ミーン。ジリジリジリ。
窓の外から蝉の大合唱が聞こえてくるこの部屋は、とにかく蒸し暑い。
クーラーは壊れているらしいけど扇風機でこの暑さを凌ぐには無理がある気がする。勿論俺は扇風機を使うことが許されていないから更に暑い。
今日は休日だから部屋にはお父さんとお母さんの両方がいて余計、息苦しいし。
でも、アパートのこの一室は今いる大きな部屋とお父さんとお母さんが使う寝室しかないから逃げ場がない。
外で遊ぼうとしてもあまりそういうことはするなと言われているから出来なくて。
……体にある痣を、他人に見られないようにするためだろうか。
そっと、服の上から痣ができているお腹辺りをそっと摩った。
「…………あっつい」
それにしたって暑い、水飲もう。ぼうっとする頭のままグラスを手に取り若干生温い水道水を注いで溢さないようにと手元に注意しつつ歩く、と。
「―――わ!」
手元ばかり見過ぎて足元に小物入れがあることに気づかず、それを踏んでしまった。