キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「やだ、ごめんなさいお父さん!」


「ここに入ってしっかり反省しろよ?」


押し入れに入れられてもなお殴られ無情にもピシャリ、戸を閉められてしまった。


「……や、嫌だ」


湿っぽくてカビ臭い暗闇が怖くて仕方ない。


お父さんとお母さんはたまにこうして俺を狭い押し入れに閉じ込める。


そして俺が出られないようにと戸に自分達で買ってきて取りつけた鍵をかけるんだ。


「ごめんなさい、ごめんなさい」


こんな狭い場所に何時間も閉じ込められるなんて、俺嫌だよ。どくどくどく、激しく脈打つ心臓。


思うように力の入らない手でドンドン戸を叩くけどこの暗闇から解放されることははくて。


今日はどれくらいここに閉じ込められなきゃいけない?何十分?何時間?


たとえ実際の閉じ込められていた時間が2、3時間だったとしても、もっとずっと長い間闇の中に放置されてる感覚がする。


夏だからか湿っぽさも増していて、気持ち悪い。


前は昼から太陽が顔を隠す時間まで閉じ込められた、今日も同じくらいなのかな。



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