キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


それとも、更に長かったらどうしよう。


容赦なく蹴ったり殴られたりされた体よりも、心の方が痛い。


あの時、ちゃんと足元を見ていれば……いや水を飲もうなんて考えなければこんなことにはならなかったんだ。


自分のせいで、こうなってしまった。俺が、俺のせいで。


「…………ごめんなさい」


ごめんなさい、ごめんなさい。


戸の向こうでは俺の存在を忘れてテレビを見たり好きなだけ寛いでいる2人がいるんだろう。


微かだけど、時々笑い声が聞こえてくる。


俺はいつまでたってもそっち側にはいけなくて。家族なのに、何で壁があるのか。はっきりと境界線が引かれているのか。


お母さんやお父さんに聞いたって、答えてくれないと思う。黙ってろって、怒られる。


「ごめんなさい……許して、ください」


俺の声なんか聞いちゃいないって分かってても言わずにはいられなくて。


何回も謝れば許してもらえる、この考えはいい加減なくすべきだとは思うけれど。


バカみたいにごめんなさいと繰り返すことくらいしか、結局は出来ないんだ。


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