キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
何て答えればいいのか分からなくて、口を開きかけて閉じる。ここは嘘でも楽しいって言った方がいい?
ちらり、お母さんを見れば冷たい目が語っていた。楽しいって言え、と。
「た、楽しいです」
「そうなの~。おばちゃん、僕がお外で遊んでるの見たことがないから、あんまりそういうの好きじゃないのかなって思ってたのよ~。でもお父さんと一緒に、お家の中で遊んでたのね?」
おばあさんの朗らかで柔和な声とは裏腹に、漂う空気はピンと張りつめている。
ちぐはぐな空気だ。
「お父さんが、遊んでくれてます」
「お母さんとのお遊びする?」
おばあさん、止めて。それ以上何も言わないで。
「たまに……出かけます」
嘘だよ、大嘘だ。
「いいわねぇ、家族でお出かけ」
苦しい、痛い。張りつめた空気で押し潰されそう。
「じゃあ」