キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「い、いた……」
「ずっとこうしてれば、お前。いなくなってくれんのか?」
「ひっ」
「その目。むかつくんだよ!……いなくなればいいのにな」
何度も何度も。繰り返される。それでもずっと耐え続けていると。
「ま、今日はこのくらいにしといてやるか」
今日は。その言い方に目の前が真っ暗になった。またこういうことをされる日が来るのか。
「さっさと立て」
お父さんは俺の横をすり抜け何事もなかったかのようにテレビを見始める。
ああ、狂ってる。
これは、家族じゃない。おかしいんだ。
頭をよぎるのは、ニュースで度々報道される事件。俺も、ここにいればきっとそうなってしまう。
そう思えるくらいには最近お父さんとお母さんの暴力は度が過ぎていた。もう我慢出来ないよ。
痛みに耐えながら、最悪の場合。それは数か月後、もしかしたら明日かも。…………ここから、逃げないと。