キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


死にたくないなら、逃げないと。


すぐにでもここから抜け出したいけど、家の鍵は閉められているし鍵のありかだって俺は知らないから。


逃げるなら早くて明日、学校に行くために朝家を出た時だ。


家を出て学校に行くフリをして、近くにある交番に行こう。それ以外に安全な方法は、俺には思いつかないし。


自分から助けを求めないと、俺はずっとこの家にいなきゃいけなくなるんだ。俺は……、まだ、生きたい。


ぎゅっと拳を握りしめ、怪物と化したお父さんの背中を見つめたのだった。




―――――――


―――……



朝、学校に行く準備をしてランドセルを背負う。どっくどっくどっく、心臓が激しく動く。


お父さんもお母さんも俺がいつ学校に行こうが気にしてないから、自分のタイミングでここから出られる。



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