キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


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「……そのあと警察に全部今まで何をされてきたのか話して、施設に一旦預けられた。親戚とかいなかったみたいで。結局、警察の対応であの人達は逮捕」



ぽつり、ぽつりと語られる。


「俺はしばらく施設で暮らして、小5の時今の両親に引き取られた。そんで父さんにギターとか音楽やってみないかって誘われてやってるうちにハマって中1で星渚や皐月達と出会ってさ」


「……じゃあその引き取られたタイミングで名前も変えたんだね」


「そう。大人の事情とか法律とか、詳しくは分からなかったけど八枝優の名前のままじゃ生き辛くなるからって」


確かに、通っていた小学校にも近所にも親が逮捕されたことは嫌でも伝わるのだから碧音君にとって厳しい環境になってしまう。


「俺も、名前が変わることは嫌じゃなかった。優なんて名前、いらなかった」


都合のいい時しか親から呼んでもらえない名前、嫌だったんだろうな。


愛情を込めて口にしてくれない名前に、価値を見出すことが出来なかった。


「名前が変わる時、決めたんだ」


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