キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
特殊な環境で育ち、愛情を十分に受け取ることができなかった碧音君は。
「自分が必要だって、認めてもらいたい。難しいことだけど」
自分を傷つけるものは徹底的に排除し、存在を認めてくれる人間は受け入れる世界を守るために。
「弱い自分は、いない。……いちゃいけない」
頑張って壊れては修復して、壊されそうになったら分厚い壁で覆った。
例えそれが、段ボールを接着剤で継はぎしたようなものだったとしても。
「優は、死んだ」
碧音君は自分で自分を、一度殺した。そうじゃないと、世界を守ることが出来なかったから。
――ああ。不安定で危うくて、ちぐはぐな。
飛び込んだ君の世界は酷く脆くて。
どうしようもなく、儚かった。