キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「でもね」
私、思うんだ。
「弱い自分を、優を捨てたことに罪悪感を感じているのは碧音君自身じゃないのかな」
「何、それ……」
碧音君の表情を見てて、感じた。意味が分からないと言わんばかりに眉を寄せ目を細める彼。
「弱い自分は捨てたって言いながら、それを受け入れてあげられなかった自分を心のどこかで責め続けてるんじゃないの?」
幼い頃の自分、優を拒絶して受け入れず殺してしまったことに碧音君は罪悪感を抱いている気がした。
「俺は……、そんなこと思ってない」
「本当に?」
問うと緩く首を横に振り、一歩後退した。
「弱い自分とどうにかして決別しないと、前には進めなかったんだよね。それしか方法が、分からなかったんだよね」
だから優という存在を消そうとしたことは、仕方がなかったのだ。でも、碧音君はそれに罪悪感を抱いている。
「碧音君、もういいんじゃないかな。弱い自分を認めたくないって、誰でも思ってる」