キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「……でも……」
碧音君をやんわり抱きしめる。
「無理に受け入れなくたって大丈夫。悪いことじゃないよ」
弱い自分を受け入れたくても受け入れられない、この狭間で苦しむのは辛すぎる。
多分碧音君の心が、悲鳴を上げると思った。
きっと他の人なら、弱い部分があっても当然なんだから少しずつでもいい、受け入れろと言うかもしれない。
けど、皆が皆そうなれるわけじゃない。
「……俺、は」
「うん」
「開放、されたくて……でも」
声を震わせ、ぽつりぽつりと言葉を落とす。
「うん。罪悪感や自責の念に駆られる必要はないよ。今の碧音君で、いいんだよ」
「あす、かっ……」
碧音君のさらさらした髪が、鎖骨ら辺に当たってくすぐったい。
服からは、柔らかい花の香りがした。柔軟剤か香水か、どちらにせよ碧音君に合ってる。